胃腸疾患例

大腸

大腸は太さ、5-7cmで全長1.5-2m前後の管状の構造をした消化管です。主な働きは水分の吸収で、1~2Lの水分を吸収し、直腸へ運びます。回腸から運ばれた流動体は24-72時間かけて直腸に運ばれ、排出されます。

便秘

 便秘とは、糞便が大腸内に長時間とどまることにより、便中の水分が吸収されて硬くなり排便に困難を伴う状態です。通常の排便回数は、1日1-2回から3日に1回の人もあり個人差があります。便秘と来院する人には、排便回数が週に2回以下の場合や、排便量が少なく常に便意を感じるも、できらない人もいます。
便秘の分類は機序により機能性便秘と器質性便秘に分けられます。器質性便秘には、大腸がんなどによる腸管の狭窄や手術後の癒着、子宮内膜症などにより腸管の屈曲が強くなり起こることもあります。機能性便秘には、特発性便秘があります。
特発性便秘には、腸管の蠕動低下による単純性便秘、腸管の攣縮による便の輸送が障害される痙攣性便秘、直腸の排便反射のよる直腸性便秘があります。
機能性便秘には、その他、薬剤性便秘(精神科で投与される薬に多い)糖尿病などの代謝障害からの自律神経障害や、内分泌異常からの便秘、神経や筋の病気で起こる便秘があります。
 女性の便秘は、特発性の便秘が多く、ストレスなどで起こる痙攣性便秘や、市販薬の下剤(アロエなど)を多く服用したため、腸管の機能が低下し蠕動低下による単純性便秘が多くみられます。ダイエットによる食事量の制限やファーストフードなどでんぷん類のみの食事などにより排便量が少なく、排便回数が少なく、これにより便が硬く出にくくなるので、市販薬の下剤を服用し、これを繰り返す事により、腸管の機能が低下し、腸壁が薄く拡張し、粘膜にメラニンが沈着している場合があります。
 男性に多くみられる便秘には、ストレスなどにより、腸が痙攣し、排出を障害し、便が硬くなり兎糞状となり、便秘を引き起こします。また腸内圧が上昇することにより、腸の壁が一部突出(憩室)し、そこに糞便がたまり、憩室炎を併発する場合があります。また下剤を乱用すると、腸の口側半分は薄く拡張し、腸の機能が低下することにより便秘はさらに悪化します。
対策として食事内容の改善 色々な種類の食品、特に線維の多いもの(やさい、くだもの)を適度に混ぜ、でんぷん類のみ執らないように心がける事、朝に大きな蠕動がおきやすいので、朝食をとるようにし、その後、排便する時間の余裕をもって起床するように心がける事、適度の運動は、腸の血流や蠕動にも良いため、積極的に取り入れてください。

下痢

 下痢とは、なんらかの原因により、大腸の内容が急速に通過するため、腸管での水分吸収ができない、または水分分泌が過多になり、腸内の液体が排出された状態です。排便回数は関係しませんが、通常増加します。 下痢の持続期間により、3週間以内のもを、急性下痢、3週間以上のものを、慢性下痢に分類しています。
 急性下痢には感染性下痢と非感染性下痢に分類できます。感染性下痢には、細菌性(サルモネラ、病原性大腸菌など)、ウイルス性(ノロウイルスなど)があります。発熱、吐き気、嘔吐、腹痛など全身症状を伴うものから、軽症のものまであります。下痢は、細菌、ウイルスを排除する体の反応です、下痢止めの服用は避けた方が良く、電解質(特にKを多く含む)を含む飲料水の摂取が必要です。脱水になりやすい、子供や高齢者は、輸液などが必要な場合があるため、医師への受診を勧めます。
 3週間以上の繰り返す下痢:慢性下痢には、器質性下痢と機能性下痢があります。器質性下痢には、大腸粘膜に障害がある場合、潰瘍性大腸炎などや、大腸癌などで狭窄がある場合にも、蠕動が亢進して下痢を引き起こします。大腸内視鏡で、器質的疾患がない事を確認する検査が必要です。器質的原因がない場合は、機能性下痢となります、機能性下痢には、過敏性大腸症といわれるストレスにより蠕動が亢進するために下痢になる場合や、乳糖不耐症など、食品の種類によりアレルギー反応がおこり浸透圧性の下痢を誘発してしまう場合があります。
サラリーマンに多い下痢
 ストレスがかかると、自律神経のバランスが崩れ、蠕動の亢進が起こり、吸収がされる前に大腸へ運ばれ、水様便として排出されます。このため、水様便を固める作用のある薬、蠕動亢進をストップさせる薬や、自律神経のバランス薬などあります。

下血

 肛門から、鮮やかな赤い血液がでる状態を言います。出血に混じって、粘液(白色のもの)が混じる場合もあります。痔や切れ痔などで起こる場合は、排便後、痛みを伴ってぽたぽたと出血します。しかし、最も怖いのは、長年、痔をもっている人が、下血する場合で、痔からの出血であると大腸検査をせず放置する事です。こんな人の中に、検査した時には、進行癌で、すでに肝臓に転移がある場合があります。痔をもっている人は特に、定期的な検査を行ってください。
 便潜血反応は、大腸癌のリスク検診ですので、陽性となった場合は必ず大腸検査施行してください。

大腸ポリープ

大腸ポリープ

「ポリープ」とは、「イボ」のようなものです。普通の「イボ」は放っておいてもがんにはなりません。しかし、大腸ポリープは大腸がんの源というところが普通の「イボ」とは決定的に違います。

大腸ポリープは自覚症状がほとんどないため、本人が気付かないケースが多数あります。そのため、検診や人間ドックなどで発見されることが多くあります。

大腸がん


大腸ポリープと大腸がんの関係は密接ですが、すべてのポリープががんになるわけではありません。そして、大腸がんの原因がすべてポリープというわけではありません。しかし、ポリープは大腸がんの発生母地となる可能性だけではなく、大腸がんがなりやすいかの指標にもなります

「早期発見」が「早期治療」を可能にします。定期的な検診を心がけましょう。

ヘリパクターピロリ

約3μmのらせん状の細菌で、胃の粘膜に入りこんで炎症を起こします。慢性胃炎、胃十二指腸潰瘍、リンパ腫を起こすとされています。日本人は40歳以上では70~80%の人がピロリ菌に感染しています。感染経路ははっきりしませんが、免疫能力が不完全な幼少期に経口的に感染したと考えられています。ピロリ菌に感染しているかどうかを調べるには、内視鏡検査で細胞を採取して検査する方法と、吐き出された息より調べる方法、尿や血液から調べる方法があります。治療は除菌療法があります。これは2種類の抗生剤と酸を抑制する薬を1週間服用します。この治療を薦めるのは、胃十二指腸潰瘍や、リンパ腫のある患者さんです。

胃食道逆流症

食道と胃の間には弁状のものがあり、胃酸や食べ物が食道内へ逆流しないような機構があります。この仕組みに不具合がおこると、食道内に胃酸や食べ物が逆流します。逆流すると、胸焼け、すっぱいものがこみ上げてくる、胸が痛い、のぞが詰まった感じがする、夜咳き込むなどの症状がでます。酸などが逆流すると、食道に炎症を起こします。食道の炎症が強い場合は潰瘍を形成し、その後狭窄などの合併症を起こすことがあります。また逆流を繰り返していると、食道の粘膜である扁平上皮が、酸に強い円柱上皮に変化します。この円柱上皮をバレット上皮と呼び、通常の扁平上皮より癌化しやすいため注意が必要です。胃食道逆流症の治療は、酸を抑制する薬、H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害剤を服用します。この病気は、以前、日本では少なかったのですが、食事、体型の欧米化により、現在増加傾向にあります。

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